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Jupity301 & Marty101/USERインタビュー その

Jupity301 & Marte101/USERインタビュー その1 へ (島田奈央子さん、扇谷ケントさん、チープ広石さん、佐々木譲さん)
Jupity301 & Marte101/USERインタビュー その3へ (松井五郎さん、大谷研二さん)
日本エム・イー・ティ㈱HPより転載
音の再現性に感動、ギタリストとしての楽しみ        高橋誠氏インタビュー
●高橋誠(ギタリスト、作曲家)プロフィール:1954年、東京生まれ。16才でプロギタリストとしてデビューし、1979年に「もんた&ブラザーズ」に参加。その後、スタジオワーク及びツアーミュージシャンとして数多くのメジャー・アーティストのサポートや楽曲の提供、自身のバンドなど幅広く活動している。
活動の詳細は公式サイトをご覧ください。

出て来た音は、その匡体からは想像も出来ないほど豊かなものです。それが、私のタイムドメイン初体験です。

たしか、無農薬有機栽培の玄米をインターネットで探していた時に、偶然ある自然食品を扱っているサイトで、タイムドメインのスピーカーを紹介する記事を発見したことが始まりでした。

そこには、"Yoshii9"と"Mini"が紹介されていました。いままでのスピーカーとはまったく発想の違う作り方で、ある意味で人に癒しを与えてくれるというような記事だったと思います。そのときに頭の片すみに「タイムドメインスピーカー」がインプットされたようです。

そして、あるとき、家のそばのエコな雑貨屋さんに好物のクッキーを買いに行ったとき、前出のサイトで見た"Yoshii9"を小さくした様なスピーカーが目に入って来ました。それが、"Marty101"でした。

さっそくお店の人に試聴をたのんで、その音を聞かせて貰いました。出て来た音は、その匡体からは想像も出来ないほど豊かなものです。それが、私のタイムドメイン初体験です。もう頭の中ではこれを買って家に置いているイメージが浮かんではいたものの、となりの妻の反応が怖くて即買いは出来ず、一旦家に帰ったのですが、やはり思いが勝ち「もう一度試聴してくる」と妻を家に残し、ひとり店にもどり購入したのでした。

●まるでそこで弾いている指使いが目に見えるような、細かなニュアンスまでも再現してくれました。

その日からはもう、家中の音源を片っ端から聴き倒し、発見の連続が続きます。ビートルズのすごさを再発見し、今まで良いと思っていたのもはそれほどでも無く、いままであまり聴かなかった物のなかに宝石のような輝きを発見したりと、興奮状態が続きました。

特筆すべきは、職業柄やはり気になるギターの音の再現性でした、まるでそこで弾いている指使いが目に見えるような、細かなニュアンスまでも再現してくれました。特にアコースティックギターの音は秀逸です。そして、肉声の素晴らしさには感動します。人の声をこれ程ストレートに伝えてくれることに驚きました。

いままで使っていたスピーカーは一応スタジオでのモニター用で決して音が悪い訳ではなかったのですが、Marty101の登場で引退してしまいました。何が違うのか、ひとことでは難しいですが、とくにCDの音が、例えれば魚の干物のように感じていたのが、海にもどって泳ぎ出した感じですかね。

プレイヤーの息遣いやその時の思いまでが、そのまま伝わってくる気がするのです。他にも音程がハッキリ判る、細かいフレーズも細部までちゃんと聞こえる、変な音の干渉がない、英語が聞き取りやすくなるなども特徴ですね。

私の音楽の好みとしては、ハードロック(ヘビーメタルではありません)、Blues系が多いのですが、何の不足も感じません。オススメ音源は、ちょっと古いですが "Trapeze"の"You are the music. We are just the Band"、"Ben Harper"の"Welcome to the cruel world"、"Big Bill Broonzy" のライブ(これはかなり古い録音で、アナログ盤で聴いています)などです。

Jupity301が家に来てからは家中がタイムドメインの音で満たされています。

 
さて、ついに"Jupity301"の登場です。BauXarのサイトでJupity301を見た時は、いてもたっても居られなくな
 り、試聴に駆けつけました。そこにあったのは、Marty101をよりゴージャスにしたものでした。開発者の方が
 仰ったように限り無く"Yoshii9"に近付いた奥行きと深みのある音でした。もちろん、即購入を決めました。

 
Jupity301が家に来てからは家中がタイムドメインの音で満たされています。(因に家にはタイムドメインスピ
 ーカーが3台あります)ひとつ欠点を上げるなら、ずっとこの音に触れていたいために、外に出られなくなると
 いうことですね、おかげで最近はライブのリハに遅れがちの毎日です。

 
Marty101とJupity301との出合いに寄り、今まで以上に演奏活動に対しての思い入れが強くなった気がします。
 とくに、歌う事の意味がより鮮明になったようです。そんな、私のライブにも足を運んで頂けたら幸いです。来
 年はアコースティックなソロ活動も充実させて行きたいと思います。

 
そして"Marty101""Jupity301"を購入された方には、私が参加しているパワーロックトリオ"Triple Diamond"のCDを是非聴いて頂きたいですね。日本一音の大きいベーシスト湯川トーベン(元 子供ばんど)の重低音も、ヘビーでタイトなドラムの嶋田吉隆(元 Bo Diddley、char)のバスドラも余裕で再現してくれますよ。

他に活動中のバンドは、アコースティックユニットで、「うずまき兄弟」(未だCDは出ていません)高橋誠(G.Vo)、 渡辺茂(B.Vo)、 SUZI KIMスージーキム(Vo) 、ボブ斉藤(Sax.Vo)、関根真理(Per.Vo/元 プレイヤーズ) 渋さ知らズでも活動中。「Blues Boys 109」こちらもアコースティックユニットで新井武士(G,Vo/元 ダウンタウンブギウギバンド) 、高橋誠(G. Vo)。他にもソロ活動や、珍しいところではテクノユニットにも参加していたり楽しいと思うことを積極的にとりいれて活動しています。詳しくは私のサイト及びブログがありますのでそちらも見てくださいね。

ホームページはこちら、見て下さい。

Makoto Takahashi Web site  http://macoto.nobody.jp/

Triple Diamond のブログ  http://3-diamond.blog01.linkclub.jp/

うずまき兄弟のブログ  http://blog.uzumaki-bros.com/


次世代の音楽制作、よりナチュラルなサウンド   H.Gardenインタビュー
●H.Gardenプロフィール:小川弘(Ogawa Hiroshi)と黒沢永紀(Kurosawa Hisaki) からなるユニット。1994 master mind(マスターマインド)名義でデビュー。『master mind('94)』『eros + Thanatos('99)』の2枚のオリジナル・アルバムを発表する他、NHKドキュメンタリー『法隆寺』や『ピラミッド』のサントラ、映画、CM、シンガーのプロデュース、クラブ・ミュージックの製作と、多岐にわたる活動を行って来た。2000年より H. GARDEN 名義の活動も開始。 Chill Out Music(チルアウト・ミュージック。クラブミュージックとニューエイジミュージックを融合した次世代音楽)を核に、ハウス、アンビエント系のトラックを制作。2004年、チルアウト・ミュージックの代表的CDカフェ・デル・マー・シリーズの『Cafe Del Mar 25』にオリジナル楽曲『Gentle Rain』が収録された。2005年、モナコのセレブリティホテル「Hotel de Paris(オテル・ド・パリ)」にあるヨーロッパNo.1のSPA『テルム・マラン・ド・モンテカルロ』のオフィシャルCD『Thalasso Spa(タラソスパ)』を全曲新曲でリリース。その他NHK版『陰陽師』、テレビ朝日系『最後の家族』など、ドラマのサウンドトラックも手がけている。
                                               公式サイト

●お二人はチルアウトミュージックを重点に置いた音楽活動を行っていますが、きっかけとなったポイントは何ですか?
 また、影響を受けたミュージシャンは?


H. GARDEN
チルアウトをやろうと思ってチルアウトを始めたわけではなく、自分たちに合っていて、一番自分たちを表現出来るニュアンスが、たまたまチルアウトというジャンルに近かった、という感じだと思います。

まだチルアウトというジャンルが世の中になかった94年のデビュー作にも、すでにチルアウト的な方向を目指した楽曲を入れているくらいですから。影響を受けたミュージシャンと聞いてやはり絶対に外せないアーティストは、チルアウトには直接関係ないアーティストばかりです

黒沢
バッハとアース(EARTH, WIND & FIRE)とクイーンとクラフトワークです。この4アーティストにはそれぞれ深〜い理由があるんですが、話しだすと何時間もかかるので省略するとして(笑)、バッハには音階を、アースにはグルーヴを、クイーンにはエフェクターの使い方を、そしてクラフトワークにはシンセをいかにエモーショナルに使うかを学びました。

小川
僕はプリンスとジョビンです。他にも好きなアーティストは沢山いますが、頭がパックリ割れるくらいの衝撃はそうそうあるものではありませんでした。ある意味今までの価値観を壊してくれたことは、自分が同じクリエイターという立場に立ったからこそ判る有り難みです。実際の音楽も好きですが、彼らのアーティストとしての姿勢は本当に影響されました。


●ご自分の良く聴く音楽は何ですか?また、その魅力は?

黒沢
最近では自分の作った曲が一番聴いている曲だと思います。過去の製作曲を参考にしなくてはならない仕事を多くしていたということもありますが、繰り返し聞いて、至らなかった点や、今後の役に立つ点などを発見することを一番面白がる時期なのかもしれません。

●音楽制作に当たり一番気を遣っていることは何ですか?

黒沢
「人として…」っていう事ですかね。昔は音楽の奴隷でしたが(笑)、最近では音楽の事より、音楽が人にどう効いてくれるかをよく思います。やはり人あっての音楽。テクニックとか理論より、人に対してどういう気持ちで作るかだと思います。

小川
結局伝わらなければ意味がないし、僕らは音楽を使ってコミュニケーションをしているのだと思います。今は、自分たちが作った音楽で社会と関わって行けたらと思っています。


●「BauXar」スピーカーを既にご存じだったそうですね?

H. GARDEN :最近手掛けているスパ・ミュージック・シリーズの一つ、『Night Spa Lounge』をきっかけに、Marty101を知りました。『Night Spa Lounge』はスパーズという、スパ施設のポータルサイトを運営されている会社の提供で作らせて頂きましたが、マスタリング(作った音楽をCDにするための最後の仕上げ作業)の時に、Marty101でもモニターしながら仕上げました。そこで初めて体験したのですが、後日知り合いのミュージシャンを通してのご紹介で、初めてBauXarの方とお会いする形になりました。

 
●上位機種「Jupity301」で試聴頂いた感想はいかがですか?

 黒沢
 アンビエント的な曲やサントラ、アコースティックな曲も好きなので、そういった楽曲にはとても相性
 
のいいスピーカーだな、と思います。とくにアコースティック・ギターとパッドで構成された曲なんか
 を聴くと、極上のサウンド感が味わえますね。

 また、現在のスピーカー事情って、BOSE以来、低音強調主義になっていると思いますが、70〜80年代の
 頃を思い出すと、もっとリアルなサウンドを再現するスピーカーが多かった様に思います。キックとベー
 スがバスバス聴こえるのも普遍的な感覚ではなく、時代の音なだけで、人はメーカーが提供する音に自然
 と慣れ親しんでいくものだと思います。

そう考えると、MartyやJupityが提出するサウンドは、これまでにない新しい音楽を生み出す可能性を秘めているんではないかと感じますね。MartyやJupityの登場で、これまで当たり前だと思っていたおバカ低音が、実はストレスを溜め込む行為だったということを知るのではないでしょうか。20年後に現在を振り返った時、なんてバカな音で聴いていた時代だったんだろうと、そう感じるんではないかと思う、未来を感じるスピーカーですね。

小川
使用PCがMACのG5にシネマディスプレイのセットなので、Jupityのメタリック・シルバーなルックスはまるで純正製品のようで、そういった意味でもとてもいいですね。

●また、BauXarスピーカーと同じ音色の「EarPhone M」も一緒に試聴頂きましたがいかがですか?

小川
僕はiPodユーザーなので、色々なジャンルの音楽をモニターしてみましたが、やはり「Jupity301」と同じくアコースティックな曲には良くあいます。それまで慣れていた低音があまり感じられないのには若干物足りなさも感じますが、逆にそれだけストレスのない音です。小音量でもリアルな音像が感じられるのは「Jupity301」と同じ設計になっていることによるものだと思います。

黒沢
自宅とスタジオの移動は常に自転車なので、イヤホンタイプのスピーカーでのリスニングは殆どしないんですが、最初低音のなさにビックリしました。しかし聴いているうちに聞き方が判ってくるというか、その音鳴りに慣れてくると、今度は中域の異常なまでの立体感にびっくりします。部屋でのスピーカー環境では決して聴こえてこない、とても奥行きのある音が聴こえてきました。「Jupity」同様「EarPhone M」も、しばらくこれで聴き続けると、この音がスタンダードになる可能性を秘めている音だとと思います。

音楽活動にどのような影響を与えそうですか?

黒沢
よりナチュラルなサウンドを追い求める様になるんではないでしょうか。ナチュラルというのは自然音とかアコースティックという意味ではなく、「人として」ナチュラル。それはシンセのサウンドだったとしても同じだと思います。

小川
音楽は、好き嫌いも含めて習慣によるものが大きいと思うのでキック4打ちの曲とかはあまり作らなくなるかもしれませんね。僕は曲を作る時にどうしても「そこにないもの」が作りたくなってしますんです。東京に住んでいるからこそチルアウトな曲を作りたくなったり…。とにかく音を音で覆いかぶせるようなことはしたくないので、「Jupity301」 のような心と体に優しいスピーカーはとてもありがたいですね。音楽活動に影響…というより日常生活全般に影響されそうです。


●H Gardenさんの今後の音楽活動と予定をお聞かせ下さい

H. GARDEN
去年からレーベルの立ち上げや会社組織の確立、新人アーティストの発掘と育成と体制的な調整を行っていて、今年に入ってもろもろがやっとおちつきつつあります。今後はそれらを母体に、様々なメディアを通して、様々な形で音源を発信していくと思いますので、チェックして頂ければと思います。

H. GARDEN official web site:http://www.h-garden.jp

●どうもありがとうございました

倍音の表現が得意なスピーカー(Jupity301)   サラーム海上さんインタビュー
●サラーム海上プロフィール:よろずエキゾ風物ライター、DJ、和光大学オープンカレッジばいでぃあ講師。群馬県高崎市出身、東京都世田谷区在住の1967年2月12日生まれ。明治大学政経学部経済学科卒業。
音楽ソフト販売店~フランス留学~2年半のバックパック旅行~インディーズ系レコード会社~クラブ運営会社勤務を経て、日本で唯一の「よろずエキゾ風物ライター(本文参照)」として活躍中。伝統音楽とエレクトロニック音楽の出会いをキーワードに中近東やインドを定期的に旅し、現地の音楽シーンをフィールドワークし続ける。趣味が高じていろいろな仕事に繋がり、ラジオやクラブのDJ、講演会、仏語や英語の翻訳、中東料理のスーパーバイザー等、精力的に活動中。
                                               公式サイト


これまで「Jupity301」や「Marty101」はクラシックやジャズのリスナーに
評判が良かったけれど、
僕はワールドミュージック~民族音楽好きにこそオススメしたいですね。

●簡単な自己紹介、そして、サラームさんのお好きな音楽を教えてください。
僕は自称「よろずエキゾ風物ライター」です。エキゾとはフランス語の接頭詞で、「外側」を意味しますが、僕は「ここでないどこか」と解釈して、「エキゾ音楽」海外や日本の外側という地勢的な「ここでないどこか」の音楽と、聞き手の精神を「ここでないどこか」に飛ばしてくれる音楽を評論して生業としています。要は音楽ライターで、専門ジャンルはワールドミュージックです。

ライター以外には文化放送デジタル局で毎週「Orient Express」というワールドミュージックのラジオ番組に出演したり、真夜中のクラブでDJをしたり、和光大学オープンカレッジぱいでいあにて通年の「ワールド音楽」講座を持っています。

 
●「BauXar(Marty Jupity)」商品との出会いのきっかけは?

 
音楽評論家の先輩である関口義人さんが主催する、ワールドミュージックのトークイベント「音楽夜噺」に出演した際、
 その会場の音響機材に「Jupity301」を用いていたのが、きっかけです。

 
その会のテーマはパキスタン音楽だったのですが、古典声楽の声や民族楽器の音色が非常に艶のある鳴りをしていて、し
 かも会場のどこで鳴っているのかわからないような音場感に一目惚れならぬ、一耳惚れしました。

 それに銀色のアルミ製ボディのルックスもイイですからね。その場で自分のiPodを繋がせてもらい、既に会場にはお客さ
 んが来ているにも関わらず、色々試聴させてもらいました。ハハハ。

 ●「BauXar」スピーカーはどの様に使われていますか?

まず僕の自宅のリスニング環境を言いますね。

僕はクラブでDJをするので、自宅でもP社のCDJプレイヤー二台とN社の2ch DJミキサーを使っています。そこにこれまではB社のアンプとスピーカーセット、そしてP社のサブウーファーを繋いで聞いていました。今は「Jupity301」といつでも聞き比べられるように、簡単に切り替えられるようにセッティングしています。

●「Marty101」、「Jupity301」を使った感想を教えて下さい。

僕は音楽の仕事をしていますが、オーディオ・マニアではないので、詳しいことはわかりませんよ。

ロックやテクノなどのビートの効いた音楽はやはりB社が迫力ある音を鳴らします。それに対して、少人数編成の音楽や民族音楽は「Jupity301」のほうが圧倒的に美しい音が鳴ります。たとえば、微妙に音程がズレた複数のガムラン(インドネシアの銅製打鍵盤楽器)が生み出す音のウネリ、シタールの共鳴弦が放つ強力な倍音、コーランを詠じる声の艶、アフリカの親指ピアノの鍵盤に巻き付けたアルミ缶で作ったサワリ、などなどなど、いわば「プラスα」的な部分がすばらしいです。

これまで「Jupity301」や「Marty101」はクラシックやジャズのリスナーに評判が良かったけれど、僕はワールドミュージック~民族音楽好きにこそオススメしたいですね。

多くの国の民族音楽は西洋の音楽と異なり、機能和声という概念が存在しない音楽が多いんです。単旋律のユニゾンなんです。インドのシタールとか聞けばわかると思いますが、あれは単旋律ですし、楽器はたった一台です。なのに、そこに西洋クラシックの100人編成のオーケストラに負けない深い芸術があります。それは西洋の12音階では割り切れない微妙な音程や、サワリや共鳴弦を使った豊かな倍音を含む音色を自在に駆使することによって生まれるのです。

「Jupity301」はそうした倍音の表現がとても得意ですね。シタールなんか聞くと「音がクリア」という表現よりも、「音がマルチカラー」という表現がふさわしい程です。これはもうB社には戻れない(笑)。

他には、アフリカの野外のフィールド録音のCDなどでは、音楽の背景から聞こえる森林や雨の音も存在感があります。他には宗教儀礼の音楽では参列者の息づかいも聞こえます。ボリュームを上げても、なぜかうるさく聞こえないのもいいですね。

●お薦め音楽CDアルバムがあればご紹介下さい。

ちょうど、この夏にキングレコードが1960年代から揃えてきた全150種類民族音楽コレクション「ザ・ワールド・ルーツ・ミュージック・コレクション」が再編され、リリースされたので、最近はこのシリーズばかり聞いています。かなり渋めの音源ばかりですが、いくつか紹介してみましょう。

「バリ/スアール・アグンのジェゴッグ」
倍音絨毯爆撃! 数十人が大小様々な大きさの竹の木琴を叩き合う、バリ島の竹の交響楽ことジェゴグ。一つ一つの楽器の音粒がクッキリで、二組の楽団によるリズム合戦が手に取るよう。

「ベトナム/中部公言バナ族のゴング・ミュージック」
ベトナム中部の少数民族バナ族による水牛供儀のゴング音楽。ゆったりと鳴らされる複数のゴングがあの世とこの世を繋ぐ通路を開く。

「インド/シャヒード・パルヴェースのシタール」
KICW85050 声楽的なスタイルを持つシタールの精鋭。ミーンド(チョーキング)や共鳴弦の効果を活かし、一つ一つの音の旨味を最大限まで引き出す演奏。タイムドメインで聴けば、圧倒的な倍音に時間感覚を失うことウケアイ。

「広西チワン族自治区/白槍ヤオ族の音楽」
倍音無間地獄!中国~東南アジアに暮らす少数民族ヤオ族に伝わる妙チクリンな儀礼ゴング音楽。村人が二人一組となり、一人がゴングを叩き、もう一人が木桶で音を掻き出す。音のモアレを延々と聴き続ければ憑依必至! 「ユダヤの宗教音楽」 聖書にも登場するサマリア人の詠唱やマドンナも取り上げたイエメン系ユダヤ人の伝統歌等を二枚組に収録。装飾音たっぷりの中東的な単旋律を複数の歌手が朗々とした、色気ある声で展開する様はまるでアラベスク模様。

とまあ、このシリーズはかなり渋いので、万人に勧められるものではありません、ハハハ。

これら以外のオススメ盤なら、今思いつくものとしては、

Mercan Dede "800"
トルコのスーフィー(イスラム神秘主義)音楽をDJ的なエレクトロニック音楽と共存させた音楽家メルジャン・デデの最新作。静謐なアンビエント・シンセ・サウンドの元、トルコの葦笛ネイや琴カーヌーン、ジプシー・クラリネットなどがインプロヴィゼーションを繰り広げる神秘的な作品です。「Jupity301」はアンビエント系のシンセものも得意ですね。

Orchestra Baobab "Made In Dakar"
アフリカはセネガルの70年代に活躍したバンド、オーケストラ・バオバブなんかは大編成バンドですが、伸びやかなギターの音色がとても美しく鳴ります。当時のセネガルのハイソサエティはラテン~キューバ音楽を聞いて踊っていたらしいんですが、彼らはそうしたラテン~キューバ音楽のスタイルを元にセネガルの伝統歌などを取り上げたオールドスタイルのアフロ音楽です。

Camaron de la Isla "Come el Agua"
フラメンコも良い鳴りをしますよ。20世紀フラメンコ最大の男性歌手、故カマロンが盟友パコ・デ・ルシアと組んだ81年の作品。ギターの音色、そしてカマロンの絞り出すような歌声が艶やかです。鬼気迫る歌声に聞いていて苦しくなる瞬間もありますけどね。

他にも、パキスタンの宗教歌謡カウワーリー、インドやアゼルバイジャンやイランの古典声楽、中央アジアの弦楽器、1950~60年代に録音されたアフリカの民族音楽シリーズ「ヒュー・トレイシー・コレクション」など、時間さえあればいくらでも紹介しますが、今回はこの辺でお許し下さい。

●ワールドミュージック系が多い様ですが、「BauXar」商品で再生されて不足感はありませんか?

大編成の打楽器集団とか、さっきも述べましたが、ロック、ヒップホップ、ファンク、テクノなど、低音が強くて激しい音楽は苦手かも。

DJでは、今かけている曲と、次にかける曲のBPM(テンポ)を揃えて、DJミキサーで低音を足したり引いたりしながらミックスしていきます。その際に重要なのがテンポを合わせるためにバスドラムを聞くことです。今、スピーカーから流れている曲のバスドラムを右耳と身体で聞き、左耳はヘッドフォンから聞こえてくる、次に流れる曲のバスドラムを聞いています。そうやって次の曲のテンポを調節してBPMをシンクロさせるのです。そういうDJの一連の作業には身体にビンビンくるような低音が必要なんです。ただ、そんな低音を自宅で出していると、隣の家から壁を「ゴンゴン」と叩くクレームが入りますけどね(笑)。

●音楽(DJ・評論)活動にどのような影響を与えましたか?

これまで何度も聞いていたはずのCDから聞こえなかった音が聞こえてきて、ただ今、自宅のCDを発掘し再発見する楽しい日々が続いています。

うちの妻はイラストレーターで、僕と同様に自宅で仕事をしているのですが、「Marty101」を気に入り、早速ネット通販して、iMacに繋いで仕事部屋のメインスピーカーにしています。

これはイイことなのか、悪いことなのか、判断は付きかねますが、Jupity 301にしてから、MP3音源やAAC音源では音質的に何か物足りなくなりました(笑)。もっとイイ音で聞きたいと思うようになりました。やっぱりCDはCDプレイヤーで聞こう! Lossless方式はまだ試していないのですが、iPodやiTunesからではなく、これからは出来る限りCDプレイヤーから音楽を聞こうと思います。まあ、数年前まではそれしか方法はなかったのに、音楽を聞く状況はたった数年で様変わりしてしまうものなんですね。

最後にサラームさんの今後の予定・今後の抱負は?
9月中旬に文化放送メディアブリッジから単行本「エキゾ音楽超特急・完全版」が刊行されます。これは僕がこれまでにしてきた、音楽を求めての旅を国別、ジャンル別にまとめています。インドの古典音楽、インド映画音楽、エジプトのコーランやインドネシアのジェゴグ、モロッコの伝統音楽などを、短いコラムとイラスト、そして各項目二つずつのオススメCD紹介という形式の本です。二次情報、三次情報ではなく、全て、僕の実際の旅の経験を元に音楽紹介をしています。ワールドミュージックの入り口として是非、読んでみて下さい。

DJや講演、ラジオの情報は、僕のサイト「サラームの家」www.chez-salam.comを。

音の錬金術師、そしてワールドミュージックの火付け役
                                          久保田真琴さんインタビュー
●久保田真琴プロフィール:同志社大学在学中の1970年、URCよりシングル・デビュー。また同年、軽音楽部の仲間だった水谷孝のバンド「裸のラリーズ」の第二期メンバーとして参加。その後大学を1年休学しアメリカを旅行。帰国後、松任谷正隆とコ・プロデュースでソロ・アルバム「待ちぼうけ」を発表。また、裸のラリーズと並行して夕焼け楽団を始める。喜納昌吉の「ハイサイじさん」の粋なカーなど、ブルース、ヒッピーカルチャー、アロハ、琉球(沖縄)などを昇華したアルバムを数枚発表する。のちに夕焼け楽団は、サンセッツとして世界的に活動を新たにする。シングル、「スティッキー・ミュージック」は、1984年オーストラリアで大ヒットした。細野晴臣と親交が深く、ユニットを結成したり、久保田の係わる作品にゲストミュージシャンとして参加している。90年代はプロデューサー業中心で、ザ・ブーム、マンデイ満ちる、島田歌穂、ディック・リー、エルフィ・スカエシなど、多くのミュージシャン、歌手をプロデュースする。著書に「世界の音を訪ねる」(音の錬金術師の旅日記・岩波書店・2006)がある。
                          2008年の新作「BALI DREAM」はこちらから

今回の久保田麻琴さんへのインタビューは、ボザールの設計開発者である栗田真二氏が久保田さんのご自宅でお話をお伺いしてまいりました。

●“ワールドミュージックの火付け役”と云われていますが、その出会いのストーリーをお聞かせ下さい。

もともと、〈音〉との出会いから話は始まります。育った北陸では家業が映画館であったため、幼い頃から音と映像に囲まれていました。中学時代に意識した音楽はモダンジャズです。その後、ロックやブラジル系の音楽にも興味を持とました。ブラジルでも、バーデン・パウエルが好きだったので、この辺りからワールド系がやや入りだしたのかも知れません。

学生時代から音楽活動を行ってましたが、ブラジル、ハワイ、インドネシア……と海外を回って見て・聴いて”自分にピッタリの音楽”を選ぶ意識を強く持つようになりました。ブルース、ジャズやロックをはじめ、世界の様々なルーツ音楽でもすばらしいものがあります。

●「ワールドミュージック」の定義はありますか?

難しいですね。一般的に1980年代後期にフランス発といわれていますが、時代と共に変化すると思います。60年代にはすでに、ラテン、カリプソ、エキゾチカ、そして我らがキュー・サカモトがあったわけですが……。ブルース、レゲエも発祥当時は〈ワールドミュージック〉ということでしょうが、世界化してポップスの世界で市民権を得たジャンルとなっていったのだと思います。

私の中では地元の音楽に根付いた大衆音楽と考えています。最近は専門に扱うCDショップもあります。最近アメリカのロック系の若いリスナーも世界の珍しい音楽を貪欲に聞くようになってきました。良いことです。

●このワールドミュージック系音楽と「BauXar Jupity301」の相性は如何でしょうか?

良いと思います。特にワールドミュージックで使われる楽器はその地元の民族楽器が多いですが、民族楽器や 肉声は倍音が豊かです。これらの音を「Jupity301」で再生すると丁度〈エキサイター(exciter)〉をかけた様なクリアな音で聴けます。「こう聴こえるべき」という倍音再生をこのスピーカは可能にしてくれます。不思議な感じです。
 民族楽器の多くはデリケートな波形で音を発していますが、これがうまく再現できるようです。楽器の
 一つ一つの音がつぶ立ちがよく、艶をを感じます。又、定位や音場がはっきりしていますが、これは左
 右スピーカの音の位相が整っている為と思います。このあたりは普通のどんな音楽の再生でも、驚くほ
 どクリアな再生をしてくれるので、それほどボリュームをあげなくても音楽を近くに感じることができ
 ます。

 一般的に民族音楽の演奏は楽器の特性や楽器編成の構成上、響きの方向性が無い場合が多くあります。
 西洋楽器に比べて、音の広がりが無指向的なのですね。無指向性スピーカの「Jupity301」はそのイメ
 ージをうまく再現できます。

 
チョッとそれますが、エジプトなど中東系のライブのクラブ音響に興味を持っています。特に100~500人程度以下の会場の話ですが……エジプトのそれは音がコンサート会場全体を包むように音響機材のセッティングがされています。観客、ミュージシャン、音響エンジニアがある種”同じ音”を聴いている、というか共有してるのです。エンジニアはステージの前で観客の方を向いてミックスしている。

一般的には日本や西洋の場合、観客はステージ前のPAスピーカ、ミュージシャンはステージ上のモニタースピーカ、音響エンジニアは正面のスピーカーを遠くから聞く、あるいはヘッドフォンでミックスされた〈音〉を聴いています。ミュージシャン、音響エンジニアは「観客はこんな音で聴いているのだろう」と想像の範囲で演奏をしています。そこには、〈音〉の一体感が不足しているような気がします。

中東式だと大雑把に言って、一つの音を共有するわけですね。私がライブ音響を担当する場合、この方式を利用することが多いです。少ない機材で確かで親密な音がオーディエンスに伝わるので、コンサートとしての成功率が高いのです。しかも機材が少なくて済むので、プロチョイス、かつエコでもあるわけです。

そんな意味でも〈無指向性スピーカ〉の「Jupity301」は私の作りたいライブ会場的な音響を自分の部屋で聞くことと近いのかもしれません。

●「Jupity301」で不満に感じる部分はありますか?

現代の音楽には低音は欠かせません。ベースや打楽器のある部分は60Hzから100Hzあたりが必要ですが、「Jupity301」では明らかに不足しています。スピーカの大きさからこのあたりの音を要求するのは難しいでしょうが、60Hzあたりからのベース音の再生が可能な補助的なサブウーハはできませんか?2.1chシステムになりますが、さらにユーザー・フレンドリーで面白いスピーカシステムになると思います。

●確かにその様な要望は今までもあります。残念ながら現在の「BauXar」商品では用意していない為、お客様には汎用のサブウーハーをお薦めしています。
  この課題は今後の商品開発に展開したいと思います。

その際は協力させてください。楽曲によってサブウーハーの音量調節が必要です。リスナーにその匙加減を任せることにもなるわけで、難しい課題だと思いますが、是非挑戦していただきたいですね。現在市場にある音楽でベースや低音の打楽器の入らない音楽は珍しいですから。

もう一つ、「BauXar」カスタマイズ企画は出来ませんか?おそらく「BauXar」スピーカは工場で量産された基本スピーカですよね。ユーザーの中にはさらに音質を重視したい方々も居られると思います。このユーザーリクエストに答える〈音質改善カスタマイズ〉企画も面白いと思います。

●弊社では「Marty101」の表面デザインについてカスタマイズの対応をしています。音質改善カスタマイズはまだ行っていません。
 大手メーカでは対応しにくいリクエストですが、弊社レベルであれば可能な範囲とも思います。検討したいと思います。

 ●久保田さんはミュージシャン、レコーディングエンジニア、プロデューサー、DJと……
  
色んな顔をお持ちですが、最近の”マイブーム”はありますか?

 ブラジル、モロッコ、ハワイ、東南アジア、沖縄……海外の音楽・音を色々と収録・編集してきました。 日本のもので面
 白い音楽を見つけました。宮古島に残る〈神歌〉や〈古謡〉は良いですね。宗教音楽や黒人霊歌に負けないスピリチュア
 ルな”音”です。この”神歌”や”古謡”も地元で歌い継
がれた長い歴史があります。このような古い歌も日本文化の一つルー
 ツとして記録・紹介していきたいと思っています。この音との出会いは昨年の事ですが、今まで気づかなかった〈音〉で
 私にとっても衝撃的なマイブームです。

 
●”音”へのこだわりですね。

 
私は録音・編集作業を行っていますが、最近はデジタル技術が進み、複雑な編集作業が比較的容易に出来ます。

 
しかし音の加工段階ではなるべく真空管やトランスの機材を使ったりアナログ処理をするようにしています。デジタル化
 で利便性は大変良くなりましたが、楽器や人の声(唄)そのものに不足感をを
感じることも多いのです。

 
特に声や生楽器は大変微妙な響きを持っています。そんな音の響きを大事にしたいと考えています。

 
最近、〈MP3〉やインターネットからの〈ダウンロード〉で音楽を聞いている人が多くなっています。それはそれで音楽
 を身近に聞くことが出来、音楽の普及にプラスになるでしょう。

 
しかし、音質的にはマイナス面もあります。そんな状況でも”音”を確かに心に届けることという努力は出来るだけ失いた
 くないと思います。

●今日は「Jupity301」のご試聴評価を含め多方面のお話を伺い大変ありがとうございました。
 まだまだ、素晴らしい音楽・音があるようですね。今後の久保田さんの”音発掘”に期待しています。
 ありがとうございました

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