はじめに

タイムドメインは、今までにない良い音の出るスピーカーである。その音の良さは、ユーザーからは次のように形容されている。
  • 歌モノを聞いたとき、歌手の身長が分かる。

  • 1曲目と2曲目で「あ、ドラムの位置が変わった」と分かる。

  • 「え、こんな楽器入ってたの?」 今まで聞こえなかった音が聞こえる。

  • ドラムやベースなど低音楽器の音の輪郭がハッキリする。
    (それまでがボワボワと鳴る「単なる音響」だったのが、「楽器の演奏」としてクッキリと聞こえる)

  • 演奏能力が高いバンドの「演奏のうまさ」が際だつ。

  • 30年前のレコードを聴くと「え、こんな良い音だったの?」と新発見がある。

  • テレビにつないでもいい音がする。ライブDVDが、CD並の良い音で聞こえる。

  • ミツバチの飛ぶ音を聞くと、8の字を描く軌跡が分かる。

  • 外国映画を見たとき、英語がハッキリ聞こえる。口の動きが目に浮かぶ。

  • ギャング映画を見ると、銃弾の一発一発がハッキリ分かれて聞こえる。

  • 戦争映画を見ると、ヘリコプターが画面の右から左へ動くのがハッキリ分かる。

  • コオロギの羽音は100メートル先でも聞こえる。それと同じような音の聞こえ方がする。

タイムドメインスピーカーは、なぜこのように良い音がするのだろうか。他のスピーカーとは何がちがうのか。今回は、タイムドメイン理論の創始者、由井啓之氏に、その秘密を語ってもらうことにした。

由井氏によれば、「オーディオ技術は、クルマやコンピュータなど他のエンジニアリングに比べ技術革新がほとんどない。確かにここ50年の間に、歪み特性など理論上のスペックは100倍改善された。しかし、では音が100倍良くなったかというと、『よく分からない。昔の機械の方が良い音かもしれない』という状態だ」という。

なぜオーディオ技術には進歩がないのか。それは「前提とする理論が間違っているから。間違った理論に基づいて、どんなに努力をしてもムダ」と由井氏は言い放つ。だが、このインタビューを読むと、それが単なる豪語でないことが分かる。

あなたがもし長年、アンプやスピーカーに何百万円も投じてきたオーディオマニアであるなら、このインタビューを読んではいけない。今までの努力と投資がムダに思えてしまう可能性があるからだ。

だが、もしあなたが、良い音で音楽を楽しみたい、ふつうの音楽ファンであるなら、このインタビューは必読である。良い音とは何か、それはどうやって実現されていくのか、一人の天才技術者が平易な語り口で語る理論の数々は、たちまちにあなたを魅了するであろう。

(今回、由井氏には、多少の正確性や厳密性を犠牲にしてでも、一般読者に分かりやすく語ってもらえるよう依頼した。技術的にあいまいな箇所があったとすれば、それはインタビュアーである私の責任である)

※ 文中でタイムドメインスピーカーの語がある場合は、原則として、タイムドメイン社製 Yoshii9 を指します。


第一部:そもそもいい音とはどういう音なのか?

  1. 由井啓之にとっての「良い音」の定義
  2. 従来のスピーカーは、前提理論が間違っている
  3. 音波は一つ。無理に三つに分けたりしてはいけない。
  4. なぜ従来オーディオの理論ではダメなのか
  5. タイムドメイン理論とはつまり何か
  6. 原音への無意味な化粧
  7. 重低音のまやかし
  8. タイムドメインに不向きな音楽
  9. タイムドメインに向いている音楽
第二部:なぜタイムドメイン・スピーカーは変わった形なのか?

  1. 原音の忠実な再生とはつまりどういうことか
  2. 良い音を出すために必要な三条件
  3. コーン紙は、小さく、軽く、紙製であるのが良い
  4. レスポンス(立ち上がり)の比較
  5. 表現力(振動のきめ細かさ)の比較
  6. 均等動作の比較。共振しやすさの比較
  7. 小さいわりには、ではなく、小さいからこそ、音が良い
  8. コーン紙には、北欧の針葉樹で作った紙を使う
  9. 基準点は静止していなければならない
  10. 従来スピーカーの設計上の問題
  11. タイムドメインスピーカーはなぜ上を向いているのか
  12. 上を向いていたら、音が前に出ないのでは?
  13. 1000倍の質量のシャフトでコーン紙を固定
  14. 円筒のエンクロージャなら共振が起きにくい
  15. 裏音を吸音するための工夫
  16. ケーブルは細ければ細いほど音が良くなる
  17. アンプでの工夫
  18. 最後にひとこと
付記:お金をかけずに「いい音」を出すコツ

  1. CDウオークマンは良い。
  2. iPodは良い。iPhoneはもっと良い
  3. CDより、レコードの方が音が良い
  4. 8000円の安物プレーヤーの音が最高
  5. フタは取れ。10円玉三枚おけ
  6. みなさんへのメッセージ


































































































































































**様、本日はお忙しい中、
貴重なお話をありがとうございました。

※ **のホームページ
※ 取材日時 2009年2月
※ 取材制作:カスタマワイズ