付記:
わかりました。今回も技術的な厳密性は犠牲にして、わかりやすさ第一でしゃべることはご了承ください。 ― 最初の質問です。CDプレーヤーは何を使うのがいいですか。 高級CDプレーヤーは不要です。SONYのCDウオークマンをタイムドメインにつなげば十分です。高価なCDプレーヤーは、内部で音に余計な加工(化粧)をしていることがあります。一方、平凡なCDウオークマンの方は、余計なことをしない素直なつくりです。その方がタイムドメインにつないだ時、いい音になります。あ、パソコンも、CDの再生装置として優秀ですよ。 ― なぜパソコンが優秀なのですか。 コンピュータプログラムは、1ビットでも落ちると動かなくなりますが、オーディオの場合は1ビット落ちても音楽は聞こえます。ゆえにコンピュータ技術者の方がオーディオ技術者に比べ「1ビットも落としてはならない」というこだわりが強いようです。これは原音の忠実な再生にはプラスに働くこだわりであり、パソコンがCDの再生装置として優秀である所以です。 またアップルのiPodもなかなかいい音がします。
iPodの音がソコソコだといわれるのは、アップルiTunesが音楽データを圧縮してスカスカにして提供しているせいです。 圧縮していない音楽データをiPodで再生すれば、非常にいい音がします。私の見るところ、アップルの技術者は「いい音」への関心が高いように思えます。 ちなみにiPodより、もっといい音がするアップルの機器があります。iPhoneです。 ― え? iPhoneは電話ですが、iPodより音がいいのですか? iPhoneはボディが硬いのが良いです。iPodよりもボディ剛性が高く、振動しにくいので、音が良くなります。
純粋に音響原理だけで比較すれば、CDよりもレコードの方が良い音がします。 ボーカルや楽器が空気をふるわせて発する音波とは、本質的に「波」であり、つまりアナログ(連続的な)ですからね、アナログ音波の再生は、レコードのようなアナログ再生機の方が向いています。 デジタル(断続的)な再生だと、どうしても細部の表現力が犠牲になります。滑らかな波のように見えて拡大するとギザギザというのがデジタルオーディオです。 レコードとは贅沢品なのですよ。音楽を贅沢に楽しみたいならレコードを聴くのがよいし、日用品として手軽に使いたいならCDを聞くのがよいでしょう。私はレコードの方が好きです。
― レコードプレーヤーは何を買うのが良いですか? オーディオテクニカのATPL 50 が、値段は8000円で安いのに、とても良い音がします。これまでプレーヤーには何百万円というお金を費やしてきましたが、この8000円のプレーヤーがあまりにいい音を出すので、びっくりするやらガックリするやら。たぶんATPL 50 は、余計なことをしていないからいい音が出せるのでしょう。
はい、あります。まずプレーヤーのフタはレコードを演奏するときには、取ってしまいましょう。フタから来る余計なビビリ音がなくなって、音がスッキリします。 ゴムのターンテーブルも取りましょう。かわりに10円玉を3枚置いてください。音が良くなりますよ。 ― 10円玉3枚を置くとどうして音がよくなるのですか。 レコード盤が安定するからです。ゴムのターンテーブルのように盤にベターッと密着するようでは、振動が伝わりやすくなります。物は三点で支えるのがいちばん安定します。だから10円玉三枚です。 本当は、10円玉三個より、画鋲三個の方が良いです。盤と接する面積が少なくなりますから。でも画鋲で支えるのは、さすがにレコードが傷つきそうで皆いやがります。10円玉三枚なら、まあ良いかと。 ― 1円玉ではどうですか。10円玉より、設置面積が少ないですが 1円玉は、アルミの固有振動のせいで、妙に音が安っぽくなる印象があります。10円玉の方が良いですね。 ― レコードが汚れてきたらどうすればいいですか。 水で洗うのが一番良いです。溝からゴミや汚れがとれて、針が正確に振動するので、正確な良い音が出るようになりますよ。
― 最後に読者へのメッセージをお願いします。 今日は、タイムドメインの理論の部分を皆さんにお話しできて本当に良かったです。これをお読みのみなさん、ぜひ一度、試聴室でタイムドメインの音を聞いてください。このインタビュー、ホームページに載るそうですが、ホームページからは音は出ません。やっぱり私としては、私のスピーカーの出す音をぜひいちど聞いてほしいですね。 ― 本日は興味深いお話を、どうもありがとうございました。 ※ 取材日時 2009年12月 ※ 取材制作:カスタマワイズ |